Sun Sugar Son Blog http://sunsugarson.com/blog/ 映像クリエイトチーム Sun Sugar Son の Blog Sun Sugar Son /static/img/logo_image.jpg Sun Sugar Son http://sunsugarson.com/blog/ 下山 http://sunsugarson.com/blog/75 昨日は使い物にならないほど眠った。
なんだか限界値の底上げをするような現場だったけれども、
そのぶん多くのものを得られたような気がする。
それぞれ自分の好きな事を何十年と積み重ねてきた職人達が、
お祭りという特別な場で自由に遊んでいるような、そんな感じ。
自分の倍以上も歳を重ねているのに、
絶えずカメラを手放さず、
全てのバンドを最前線で撮影して、
全くといっていいほど休憩を取らず、
朝の9時から深夜2時まで撮影し続けて、
それでも楽しそうな情児さんの背中を見ていたら、
こりゃあ無敵だなあと思った。
そのうえ笑顔でずんずん人の懐に入って
おいしい画を撮りまくるのだ。
自分は今回久しぶりに、
生来の引っ込み思案な性質を意識する現場となった。
切り込んで行けばおいしい映像が撮れると
わかっていながら、
なぜか二の足を踏んでしまうのだ。
もどかしかった。
そんなハードルは、
とっくに乗り越えたと思っていたのに。
祭りも終わり間近になって、
ようやく少しだけ開けたかな、という感じ。
60前後のdeadheadsを前に気後れしたのだろうか。
同じ人間なのにね。
相手があんまり堂々としていると、
こっちが小さく弱くなったような
気がするんだなあ、たぶん。
それでは立ち会いに負けるって、
空手で教わったんだけども。
技術的にはレベルアップできたと思うけど、
精神的にはいくつかの課題を突きつけられた形となった。

次のひかり祭りでは、
もっとやれるだろうか。

今日あった少しいいこと。
相模湖に散歩しにいったら、
旅館のおじさんに呼び止められて、
「いつも竹とか拾っていってるでしょ?
あれに何に使うの?芸術的な事?」
「はあ、まあ、そうです、芸術的なw」
「これ持って行かないかい?
こないだ拾って、何か作ろうかと思ったんだけど、
俺センスねえからさあ」
といって、すばらしくねじ曲がった流木(根の部分だろうか)
を取り出してきたのだ。
こんな風に流木を取っておいてくれたおじさんは
実は他にもいたのだが、
一度も話した事のないそのおじさんが
自分が通りかかるのを待っていてくれた事が、
なんだかとても嬉しかった。
と同時に、
いつも流木を拾いに行ってる姿を
見られていたんだなーと、
「狭い町内」って言葉を実感した。
流木でちろちろと、
小物や家具を作ったりしてみています、最近。
触れられる物を作るのも、
映像や音楽とはまた違った
面白みがありますな。 ]]>
Sun Sugar Son Tue, 27 Jul 2010 23:55:13 +0900
Japan-The Strange Country http://sunsugarson.com/blog/74 http://vimeo.com/9873910

先日、東京に遠征した時に
友人に見せてもらったビデオ。
グラフィックの秀逸さが際立っている。
日本人の中にはこれを見て
不愉快に思う人もいると思うし、
実際そうした人たちの書き込みによって
この掲示板は賛否両論吹き荒れている
わけなんですけども。
たしかに、恣意的なデータの見せ方は
多々あると思うし、
個々人ではどうにもならないほどに
システムが巨大化している中で、
「自分たちにどうしろと!?」
っていう風に憤る人たちがいるのも理解できる。
食料の問題とか特に。
自分の場合で言えば、
外食産業で廃棄される食料の多さに
うんざりした経験から、
外食する事自体に抵抗感を感じたりしていて、
かといってスーパーで買い物して自炊したとしても、
あそこで廃棄されている食品の量だって
すさまじいわけで、
じゃあどうしたらいいんだと。
最近畑の野菜が取れはじめたのが救いではあるけれども、
都会に住んでたらどうしようもないもんね。
家庭で残飯を出さないようにしても、
流通の段階で恐ろしい量が廃棄されているという事実。

ただ、
この作者がこれを大学の卒業制作で作った
という事はまずとてつもない
偉業だと思う。
そして彼が自分の祖国を
このようにネガティブに、
皮肉まじりに捉えているという事実、
その原因をまずは直視しなくてはいけないと思う。
自分だってこの国の好きな部分はあるけれど、
正直うんざりする事も多いよ。

もちろん、
世界の不幸の原因全てが日本にあるわけではない。
ただその一方で、
大量消費社会に慣れすぎてしまった日本人が、
そのシステムの歪みに対し無自覚で居続ける事に、
罪がないと胸を張って言い切れるだろうか。

中国の原生林を皆伐して作る割り箸の問題について、
それは中国人の問題で日本人の責任ではない、
っていうような理屈を立てている人がいたけれど、
経済がグローバル化して、目に見えない所から
モノが運ばれてくるような時代であるからこそ、
消費者の側が想像力を働かせて、
消費行動に自覚的になるべきなんだと思う。

とは言っても、
貧乏人が倫理的な理由から
フェアトレード商品を選ぶっていうのも
かなり限界があるんだけどね。。。(これは自分の話だが)

少なくとも、
罪悪感をかき消すための
思考停止は絶対にしたくないなと思う。

これはちょっと蛇足だが、
東京で電車に乗ったら、
「寿司職人を家によんで
寿司をにぎってもらったら
予算はいくらくらい?」
ってなCMが流れていて、
答えが2、30万だった気がするんだけど、
そのあとに「その夢に向けて準備しよう」
みたいなテロップが流れて、
宝くじのCMだとわかった瞬間、
これってなんかやばくないかな、
と思った。
例えばローマ帝国の貴族たちが
世界中の美食を集めて食べては、
鳥の羽でのどの奥をつついて、
食べたばかりのものを吐き出し、
また新たな美食に舌鼓を打っていた、というような、
ぱっと見こいつら馬鹿なんじゃないか、
と思えるほどの乱痴気騒ぎ、
あれに近い匂いを嗅いだ気がした。
デカダンだとか文化の爛熟だとか、
なにかしら負のイメージをまとうきらびやかさ、
帝国の滅亡の前夜の雰囲気。
っていうと大げさだけれども、
少なくとも自分達が子供の頃に教わった
道徳の倫理観からは遥かにかけ離れた所で、
不健康な消費が加速していって、
気がついたら自分たちも飲み込まれている、というような。
なんだか、なんだかな。

アメリカの方が飯捨ててるよとか、
東欧の方が自殺率高いよとか、
そういう批判をしてしまう心理って、
あっちのほうが酷いからここはまだマシって、
そうやって目を背けていたら
何も解決しないよなあ。

さて、
自分に何ができるだろうか。

とりあえず今日は仕事をこなして、
ゴーヤのグリーンカーテン作ったぞっと。
]]>
Sun Sugar Son Sun, 04 Jul 2010 22:18:26 +0900
モノの物語 http://sunsugarson.com/blog/73 やっぱり載せない事にした。
特定の誰かを責めるつもりはないのだけれど、
それでも不快な思いをする人がいそうだから。
最小限の体験を引き合いに出しながら
語ってみる。
まずはこの映像を見てください。

「モノの物語(the story of stuff)part1」



この映像自体は先日、地元で地域通貨の流通促進を
目指して活動している(ちょっとニュアンスが伝わり
づらいかもしれないけど、これはまた後述します)
「トランジション藤野」で紹介してもらったもので、
自分としては長年の謎が少しばかり解けたなあという感じでした。

もちろんあらゆる情報や価値観は、
自分の頭で検討してから飲み込むべきもので、
この中で言ってる事を鵜呑みに
すべきではないのだけれど、
一つ5ドルのラジオを買おうと思って
ふと気づいたっていうくだり、

あれが目からウロコでした。

自分はこの商品の対価を払っていない。
じゃあ誰が払ったの?
途上国の人々が、天然資源や、きれいな空気で、
あるいは非保険雇用での労働etc...で、
対価を払った。

なるほど!と。

百円均一に大量に並ぶ
MADE IN CHINAの商品を見る時に、
脳裏にふとよぎる罪悪感、
(そういう時は大抵、
戦時中の富岡製紙工場のように過酷な
環境で働かされる中国の女工たちの
ドキュメンタリー映画
「女工哀歌」の予告編が思い出される。
本編はまだ見ていないのだ。)

その罪悪感だけはもやもやとしているのだが、
システムがいまいち理解できずにいた所のもの、
つまり国際的に経済強者であるという事は
いかなる事であるのか、という問いについての、
一つの回答が提示された気がしたから。

中国で環境破壊が加速している事に対して、
そうした短期的な視野に立っての
なりふりかまわぬ発展という時代を
すでに通り過ぎた国の民としての、
変な優越感でもって、
あの国はまだ環境意識が低いから、
なんていう思考が自分の中にもあった事を
とても恥ずかしい事だと思った。

そうやって環境を破壊しながら
生産しているものを、
安いからというそれだけの理由で
購入してしまう自分は明らかに
その環境破壊に加担しているわけで。

そうやって作られた物に
囲まれて暮らしているのが
今の自分たちの生活なんだなと。
原材料などのレベルまで遡ってみれば、
世界中の環境破壊に依存しているんだな、と。

日本では一人当たり、
平均して一年に10kgの服を買い、
9kgを捨てている計算になるらしい。
その多くは、市場に流通する事無く、
ブランドとしての価値を維持するために
焼却処分されている高級ブランドの服だろうと
思うのだけれども、
それにしたって
様々な理由で自分が捨てる服を、
うっかり途上国の人たちに見られて、
胸を張っていられる人って
中々いないんじゃないだろうかと思う。

それもまた、システムのからくりの中で
転がされているのかな、とも思うけれど。

『不都合な真実』がはやっていた頃、
アル・ゴアが日本のTVに出演して、
省エネ対策の施された最新家電を買うことは
地球温暖化対策に繋がるって言いながら、
変な笑顔を浮かべているのをみて、
ああ、この人も結局、
企業の利益を代弁する政治家なんだな、と
少し失望したんだけれど、
その失望は的外れな物ではなかったんだなと
この映像を見て再認識した。

今は「エコ」という新たな流行を、
いかにして消費に結び付けていくかという所で、
いろんな企業が悪戦苦闘しているのだろうな、
と思う。
自分たちの生活スタイルを見直して、
身の丈に合った暮らし方、という物を
実践していかない限り、
こんな馬鹿騒ぎは続きはしないと思う。

ってやっぱりぐだぐだと
クダをまいてしまった。
こういう事を話していると
きっと身近な友達から反発をくらったりして、
そんな事で口論したりするのも嫌だから
そうした思いを全部託して
映画にしちまおうと思っていたのだけど、
なんだかストーリーが転がらなくなっちまったから
こんな形で噴出したのかなあ。

ばらばらのアイデアはたんまりあるのだけど、
それらを結んでいくストーリーが
中々上手に語れない。
うーん便秘だ。

それでも、また転がしたい気持ちが
高まってきているから、
そろそろ動けるんじゃないかとは思っているんだが。 ]]>
Sun Sugar Son Wed, 30 Jun 2010 00:11:49 +0900
奥から三番目の遺伝子 http://sunsugarson.com/blog/72 まあ、焦っても文章はカラカラになるばかりで、
こんなもんでもいいのかもしれない。

今日は左下の親知らずを抜いて来た。
5、6年前に右下の親知らずを抜いた時は、
丸一日くらい痛みが酷くって、
今回も手術に一時間ほどはかかるだろうなんて
言われていたから、
これはしばらくまともに食えないだろうな、と
食べ納めのつもりで肉を食ったりしてたのだが、
あんがい手術はさらりと終わって、
術後も薬を飲んでいるとはいえ
ほとんど痛みを感じていない。
これは医師の腕が良かったのか、
自分の体調が良くなっているからなのか。
でも前に抜いた時は、
明らかに研修終えたての新米先生だったし、
今回の先生はこっちを笑わせながら手術する
余裕っぷりだったから、やっぱりそのへんの
技術の差はあるのだろうなあ。
という事で、やたらでかい歯医者に行くと
研修終えたての新米先生にあたる事があるので注意、
という教訓を、再認識した次第でした。

で、自分の歯には少し不思議があって、
奥歯から数えて三本目(親知らずを入れれば四本目)
の歯が、素直でないのである。
右下の歯はべっこり内側に倒れ噛み合わせに全く貢献しないし、
左上なんか完全に歯列の内側に生えていて、
これも噛み合わせに貢献しないばかりか
不潔域を作るというので二十歳の頃に抜いた。
右上はわりと素直な生え方ではあるが、
周りの歯の半分から1/4位の大きさしかない。
唯一左下だけはまともに生えている。
その他の歯はこれといってスネたりグレたりする事なく、
わりときれいに生えているので、
やはりこの奥から三番目という所に、
遺伝の匂いを強く感じるわけである。
思えば母親も、似たような歯並びだったような気がする。
(これはかなり不確かな記憶だけれども)
という事は、母方の先祖を代々さかのぼっていくと、
奥から三番目の歯がスネたりグレたりしてた人たちが
ずーっとある時期まで連なっているのではないかと、
そんな事を考えたのだ。
という事は、
母方から自分に受け継がれたDNAの塩基配列のどこかに、
「奥から三番目はイマイチ」みたいな書き込みがあって、
(歯列と塩基配列がごっちゃになってる気もするが)
それが出る人出ない人はあるだろうけれど、
脈々と受け継がれて来た個性みたいなものなのかな、と。
まあ調べようもないのだけど、
例えば母方の先祖を5代前にさかのぼって、
そしたらペリー来航とかそんな時代なんだけども、
そのご先祖の口の中の、
奥から三番目の歯が倒れてたりしたら、
そりゃもうぐっと親近感を感じるだろうなあと、
そう思った。
もちろん顔の作りやなんかに、自分や母の面影を
認めたら、そっちの方が親近感はわくのかもしれないが。

これは少し話がそれるかもしれないが、
今、自分が畑で育てている植物のほとんどは、
f1と呼ばれる種から育ったもので、
これは例えば収量の多い種と病気に強い種を
掛け合わせてできた第一世代の種という意味で、
親のいいとこどりになってるそうです。
で、このf1さんから自家採取した種がf2になるんだけども、
これを育ててもf1と同じようにいい事づくめには
ならないそうで、
理科の時間にやった「メンデルの法則」ってやつで、
25%は劣性の形質を持った子供ができるらしい。
病気に弱かったり収量が少なかったり。
というわけで今、ほとんどの農家は
f1の種を毎年購入して使っているらしいんだけども、
市場競争ってやつの負の一面だなあこれは。
ほんとはもっと持続性の高い産業なのにね、農業。
農機具に関してもそうで、
そういった部分に投資しないと、
売れる野菜が作れないと。
で、農薬撒かざるを得ないと。
でも自分らの食べるぶんには撒かないと。

あっ、愚痴っぽくなってきた。

制度を批判する事に対しては、
非常に複雑な思いがある。
The BeatlesがRevolutionで歌ってたように、
「それより君の頭を変えたらどうだい」
「心を自由にしてやったほうがいいんじゃないかい」
っていう立場にすごく賛成なんだけれども、
といって何もかもを見過ごすのもまた気持ち悪いなあと。

うん、続きを書いていたら
やたらと長くなりそうになったので、
また明日書きます。
頭冷やそう。 ]]>
Sun Sugar Son Tue, 29 Jun 2010 01:18:18 +0900
月夜 http://sunsugarson.com/blog/71 せっかく始めたので今日も続けてみる。
しかし日記にタイトルをつけるのは
なかなか難しいな。
これを書こうという主題が
特にあるわけでもないから。

今日はたくさんタネをまいた。
ハーブ中心に、7種類ほど。
麻袋にミニゴボウとニンジンを植えた。
通気性がいいから根菜が良く育つらしい、
という噂を頼りに。
あと、見慣れない真っ赤なカミキリムシを見た。
ちょっと怪我をしているのか、
縁側のあたりをひょこひょこ歩いていた。
ハアリが蟻の巣からたくさん
出てきているのも見た。
アレは新しい子孫を残すための
雄と雌が羽を持って生まれてくるらしい。
そして結婚飛行をするんだと。
蜂にも似たような習性があるが、
わざわざ交尾を空中でする事に、
ロマンチックである事のほかに
どういう利点があるのだろう。
蟻の視点に立ってみれば
すごく感動的な瞬間ではあるだろうけど。
きっと映画的なんだろうな。

仕事上の消耗品をネット経由で注文する。
約2万円ほど。
東京にいた頃は秋葉原まで自転車を
漕いだりしていたけれど、
これはずいぶん楽だな、と思う。
それでいて安い物を探せるし。

会話の流れで昔の事を思い出す。
小学校に入学する前後の頃だったか、
父に連れられてよくゲームセンターへ行った。
そこで祖父が管理人の仕事をしていたのだ。
そのころはドラゴンスピリットという
シューティングゲームがお気に入りだった。
笑顔の祖父が思い出される。
その頃はわからなかったけれど、
勤務先に孫が訪ねてくるというのは、
顔をほころばせる出来事なんだろうな。
わりと気むずかしい祖父だったけど、
あの場所との連想で思い出した時、
どうしてもその顔は笑顔になる。

記憶の海、っていう言葉があるけれど、
その不思議さと広がり、深さという点で
すごくいい例えだと思う。

月が明るかったので少しだけ夜の散歩をした。
季節の変わり目の夜にありがちな
なんだかドキドキする匂いはもうしなくって、
もう夏に入ってしまったのか、
それとも夏はまだ先なのか、
俺の感受性が年を取ってしまったのか、
理由はわからないけれど何だか
損をしたような、少し寂しいような気がした。
でも月はすごく綺麗だった。 ]]>
Sun Sugar Son Sat, 26 Jun 2010 01:38:15 +0900
まあ気楽に http://sunsugarson.com/blog/69 三日坊主だからあまり期待はしないけれども。
ささいな出来事を、記録してみようと思った。
最近、文章から遠ざかってしまっていて、
その事に変な焦りを感じていたから。
何気ない事を書いているうちに、
自然と筆が伸びるのじゃないかと思って。
自分の意識が気づいていない事にも、
何かのきっかけで届くかも、と。

今日は、秘密の場所で採って来た桑の実を
煮詰めてソースを作った。
中央道の裏手、墓地を抜けていく
高速整備用の細い道。
たぶん誰も知らない。
このあたりは、昔養蚕が盛んだったらしく、
町のあちこちに野生化した桑が残っている。
手の届く限りの実を集めたけれども、
両手にやまもり一杯ぐらいがせいぜいだったろうか。
木に登ればもっととれるかもしれないが、
斜面の下は高速だから少し怖いのだ。

庭の畑でとれたものが少しずつ食卓に並ぶようになってきた。
今の所、キュウリ、バジル、ルッコラ、ほうれん草など。
トマトも実がついているし、カボチャも大きなつぼみをつけた。
畑でない所には一面にハルジオンだかヒメジオンが
花を咲き散らせている。

今、隣室の時計が十二時の鐘を打った。

そういえばさっき、
外から聞き慣れない声がしていたけど、
あれは何だったろう。
フクロウがせわしなく鳴いているような、
ほっほっほっほ、という声。

虫の声がなんだか空気を涼しくしているようだ。

眠くなって来た。
おやすみなさい。 ]]>
Sun Sugar Son Fri, 25 Jun 2010 00:02:07 +0900
相模湖だより http://sunsugarson.com/blog/67 約一ヶ月が経った。
山と湖に挟まれた田舎暮らしは
想像していたものよりずっと楽しく、
日々の暮らしにエネルギーを注ぎすぎてしまうのか、
中々ブログを書こうという気になれない。
でもあんまり放置しているのも、
なんだかなあという事で、
近況報告してみます。

生活のリズムが出来てきた事。
朝は7時から8時位に目覚める。
まだ涼しいうちに畑をいじる。
というか、開墾する。
元々畑だった土地を、東京オリンピックの年に
造成したらしい。
だがこの町は土地のオーナーが予想したようには
発展せず、長年放置されていた土地は今再び、
我々の手で畑に戻されているというわけ。
造成地なのででかい石がごろごろ入っていて、
ふかふかの畑にするには相当な根気が必要なのだけど、
物事を一から始めるというのは楽しいものだ。
今はだいたい、六畳ぶんほどが畑になっただろうか。
畑については書きたい事が山のようにあるので、
これは追々書いていこうと思う。

朝食を食べて、だいたい午前中は
映像編集にあてる。
作業の合間に、こまめに目を休めるため、
窓越しに遠くの山を見やる。
緑が段々と深くなってきている。
こんな場所で編集した映像を、
瞬時に東京のクライアントに確認してもらえる
のだから、インターネットの発展には
本当に助けられているというか、
いまだに驚きに近い感情を持つ事しばしば。

昼食を食べてしばし休息。
余裕のある時は、
午後の時間をさまざまな事に使う。
登山道までは歩いて10分以内。
さすがに午後から山頂を目指して登る事は少ないが、
ちょっとした素材や山菜を探したり、
辿ったことのないルートを開拓したり、
あるいは湖のほうへぷらりと行ったり。

相模湖畔のレジャー施設は、
射的や足こぎボートなど、
昭和の隆盛期のラインナップそのままで、
いつ行っても閑散としている。
なんとも言えない味がある場所です。
この間、目の前に突然魚が降ってきた。
トンビが獲物を落としたらしい。
動物って、ぱっと見た所、計算されつくした
動きをしているように見えるけど、
案外まぬけだったりする。
猫が塀に飛び上がろうとして上がれなかったりね。

その魚はトンビには降りづらい場所に
落ちてしまったようで、
上空をぐるぐると回りながらも、
一向に拾いに来る気配がない。
トンビは小回りがあまり利かないようだ。
広い場所に魚を動かしてやってしばらく眺めていたら、
音もなくまっすぐに降りてきて、
見事に魚をつかんで飛び去っていった。
ああいう動きを見ると、
とても魚を落としたりしなさそうなんだけどなあ。

そんなトンビは、時々カラスにいじめられている。
トンビの方が大きくて強そうに見えるのだが、
口ばしが大きく小回りも利くカラスの方が、
空中戦は得意なのかもしれない。
トンビは一旦飛び立つと、
あまりはばたく事はせずに風にのって
滑るように飛ぶのだが、
カラスはそんなトンビを上から下からつっつく。
トンビはピーヒョロいいながら逃げる。
時々後ろを取ったりもするけれど。

そんなカラスは、オナガにいじめられている。
向かいの家の庭木に、オナガが巣を作ったと見えて、
畑をパトロール中のカラスが木に近づくと、
ゲーゲー鳴いて頭上に急降下攻撃を繰り返すのだ。
これまた、オナガの方がずっと体が小さいのに。
この場合は、カラスは最初うるさそうにしながらも、
畑のえさを探して粘るのだが、
さすがに何度もやられるとうんざりするのか、
その内に飛び去っていく。

こういう風景を見るのは、
なぜかしら愉快な所がある。
ハブ対マングースの見世物とか、
ああいうのはすごく悪趣味だと思うのだけど、
やはり動物同士が戦っているのをみると
どこかしら興奮するものがあるんだなあ。
本能、というやつでしょうか。

動物の事になったらずいぶん話が逸れてしまった。
動物については書きたい事が
たくさんあるのだと実感。
毎日発見の連続だからだろうな。
これもまた日を改めて書こう。

夕方、涼しくなると再び畑仕事をやりだす。
石だらけの土地に雑草がしっかり根を張っているので、
スコップで掘り起こすのも重労働だ。
しょっちゅう、カツーンという音が響く。
大抵くたくたになるまで体を使ってから、
家の中へ入る。
この作業のおかげで腹も減るし、
夜もぐっすり眠れるのだと思うとありがたい。
何より充実感がある。
現金収入になるものではないけれど、
実ったものを収穫して食べる日が楽しみだ。

夕食を作って食べて、フロに入って、
大体11時ごろには眠りにつく。
毎食自炊というのもあるけれど、
生活のための労働にかなりの時間を割いている。
そういう事の全てが、
心身の健康に結びついているような気がする。

まあとにかく、元気になってきました。
この場所から、また新たな作品を
生み出せるのでしょうか。

30日には、家具職人さんの自宅兼アトリエの
新築記念パーティーに、
三十日鳥さんと一緒に出演します。
今回も音担当。
会場は釘を使わない昔ながらの組木で出来た家。
すごく気持ちのいい場所です。
詳細はコチラ

そうそう、三十日鳥で思い出したけれども、
前回アップしたエイシャキという作品、
全体的にヒキでの撮影なんで、
僕の作った8mm映像なんてほとんど
見えないんですけど、
せっかくなんで付記しておくと、
青いノイズのような映像は現像済みの8mmフィルムを
コインで削ったもので、
最後の水玉は削りまくって透明になった
フィルムに、歯ブラシで蛍光インクを
飛ばしまくった人力アニメーションでした。
普通に撮影した映像が光量不足で、
照明代わりには到底なれなかったので、
苦し紛れに発明したアイデアです。
イメージ○ォーラム的な実験フィルムを
作ってみました、というマニアックな報告でした。 ]]>
Sun Sugar Son Tue, 25 May 2010 13:31:45 +0900
コーディング始めました http://sunsugarson.com/blog/66 珠算塾のサイトを作る事になった。
コーディングという分野は今まで避けて
通ってきた感があるから、
身に着けてしまうにはちょうどいい機会だと
思ったのである。

そういうわけで仕事の合間を見て、
異世界の言語に取り組んでいるわけであるが、
これが恐ろしく疲れる。

映像の撮影、編集という分野は
自分が10年来付き合ってきたものだから、
作業時間がいくら長くても
集中している限りは乗り切れるのだが、
(無論、肉体的にはすごく疲れるけれども)
こういう慣れない分野を一から学ぶっていうのは、
ごく簡単な事が全然できなかったりして、
精神的にだいぶ疲弊するのだ。
使い方のさっぱりわからないアプリケーションで
作業するのと非常に似ている。

ここで投げ出したくなる気持ちをなだめて、
なんとか解り始めてしまえば、
のど元過ぎればなんとやらで
逆に面白くなってきたりもするんだろうけど。

掛け算九九の暗記という段階で
算数が嫌いになってしまったら、
数学の面白さまでたどり着けないもんなあ。

モチベーションを奮い起こして
がんばるのである。
だってコーディングができるようになれば、
映像の仕事なんてほとんどない南の島に
移住したとしても、
どうにか食っていけるであろうから。
ぐふふ。 ]]>
Sun Sugar Son Thu, 15 Apr 2010 15:13:10 +0900
砂絵 http://sunsugarson.com/blog/65 動画があったので貼付けます。



ウクライナのアーティストでKseniya Simonovaさん。
Wikipediaによれば2008年の経済危機で事業が破綻し、
それから1年足らずの修行でこの技術を身につけ、
2009年、ウクライナのTV番組に初出演、見事優勝し
賞金約125,000米ドルを獲得した、との事です。

とても1年で身につけたとは思えない早業。
迷いのない線のひきかた。

きっと、子供のころから、
こういう遊びに夢中だったのではないか、
保存、記録されるための絵ではなく、
今この瞬間に創造する喜び、それだけのための、
刹那的な絵画。

まあ題材や衣裳、パフォーマンスの見せ方など
かなりうまい人なので、
自分で事業やってたって言うし、
そんなビジネス的才覚で持って
賞金獲得を目指し技術習得に励んだのかもしれないけど、
あんまりそうは思いたくないなあ。

それにしても観客の涙に対し、
ゲストの涙はなんと嘘くさい事だろう。 ]]>
Sun Sugar Son Wed, 14 Apr 2010 22:15:03 +0900
認められる事 http://sunsugarson.com/blog/64 いくつか同時進行していた仕事が一段落して、
珍しく早めの時間に目が覚めた。
何に時間を使おうかと考えて過ごせる午前中というのは
とてもすばらしいと思う。
みそ汁の大根を余熱で煮ながら、
その時間で少し書いてみようと思った。

今日は新しい家を下見に行く予定。
また引っ越すのだ。
引っ越しの妖精が憑いてるんじゃないかと思うほどの
引っ越しの頻度なのだが、
これでしばらくは落ち着くと思う。
たぶん東京の西の方、自然に近くて、
都心にも出られる距離の所になるだろう。

今日は久しぶりに胸の内が疼いた。
同年代の友人がメディアに評価されている記事を見つけて、
ありていに言えば嫉妬心と焦燥心が顔をのぞかせたのだ。

最近はだいぶ暮らしが落ち着き、
仕事もいいペースでこなせるようになってきたから、
経済的にも安定してきて、
憂鬱な気分に飲み込まれて動けないような事は
ほとんどなくなったと言っていい。
反面、作るという事への渇望を感じる事も少なくなっていた。
新しい映画のアイデアを書きためるノートは、
去年1年で一冊半ほど進んだのだけど、
この何ヶ月かほとんど開いていない。
ギターも弾くには弾くけれど、
夢中になって時間を忘れるような弾き方ではない。

飢えと想像力のバランスというものがあるのだろうか。

地元から東京に出てきた頃は、
自分の未熟さなどほとんど知らず、
恐れを知らぬが故に創る事は容易かった気がする。
もちろんクオリティの至らないものが
ほとんどであったかもしれない。
それでも、すごい瞬発力だったなあと、
今振り返ってみて思うのだ。
思いつくのも早かったし、
実行に移すのも早かった。
認められたくて仕方がなかったんだと思う。

認められたいという気持ちに
恥ずかしさを感じるようになった事、
それは幸か不幸か。

こういう思考を始めたときに、
頭をよぎる二つの作品がある。
正確に言えばその中の一節。

一つは中島敦の『山月記』。
終盤、虎に身を落とした主人公の李徴は、
旧友に自分の心情を吐露しこう語る。

「己(おのれ)の珠(たま)に非(あら)ざることを惧(おそ)れるが故(ゆえ)に、敢(あえ)て刻苦して磨(みが)こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々(ろくろく)として瓦(かわら)に伍することも出来なかった。」


もう一つは、サリンジャーのフラニーとゾーイーから。
これは手元に本もないので記憶に頼るんだけど、
母親がゾーイーに向かってこんな内容の事を言う。

「知性だ感性だとか、そんなものを磨きに磨いてナイフみたいに鋭くなったって、それで幸せになれなかったら何の意味があるんだい?」


この2作品に自分の心情を重ねる事自体がすでに
傲慢な気もするけれども、、、(2作品の主人公、
李徴とゾーイーとは共にとんでもない天才である)

生活と創造とがつながっていけるような道を模索している。

まずは、東京にいる間にバンドをもっとやっておきたくて、
今mixiに音源をアップしてメンバーを募集している。
何人か連絡をくれた人があったので、
近いうちにスタジオに入ってみるつもりだ。

朝飯の支度の途中で長々と書いてしまったので、
もう頭がまわりません。
朝ご飯は大事ですよ、みなさん。 ]]>
Sun Sugar Son Fri, 09 Apr 2010 11:19:50 +0900
夢に関する省察 http://sunsugarson.com/blog/63 最近は、こういう場で何を書くか、事前に練るような事はなるべく
せずに、できる限り即興的に書きたいと思っている。
今自分の中にどういう思いがあって、
それがどのような形で出てくるのか、
書く前はわからなかった事が、書く事でわかったような気がする。
そういう変化を楽しみたいと思う。
でもそれは、楽しむというより、もっと根源的な、
必要に迫られてやっている事のような気もする。

さて、主題になりそうな事柄もとりあえず思いつかないので、
まずは近況報告から。

練馬区の体験農園が今月から使える事になり、
最初の2週間ばかりは石灰や堆肥をいれたり、耕したり、
ひたすら土を肥やしていたんだけれども、
このあいだの週末に初めて何種類かの種を植えた。
ミニごぼう、にんじん、サラダキャベツ、じゃがいも、カブ、
それに園芸店から買ってきたハーブの苗を何種類か。

天気予報を観ながら雨が降るのを待って植えたつもりだったのだけど、
その夜は嘘みたいな春の嵐が吹き荒れて、
植え付けたばかりの小さな命を根こそぎもっていかれはしまいかと、
さんざん不安な気持ちで朝を迎えました。

起きてさっそく畑に向かってみると、
種は風に飛ばされたんだかどうだか、これはわからないんですけど、
ミントの苗がビニールロープでぐるぐる巻きにされていました。
けっこうな数の人たちが、自分の畑と隣との境を明示するために
畑の四隅をビニールロープで囲んでいるのですが、
その余りがたるんでいたのでしょうか、昨夜の恐ろしい強風で
四方八方に暴れた結果、手近にあったうちのミントの苗に巻き付き、
それはまるで意志をもっていたかのように
いくつもの結び目まで作って、か弱い苗を縛りあげていました。
その姿があまりに痛々しくて、ああ、これはやっぱり
命を育てているのだな、という感慨を新たに持ちました。
実際に畑を始める前は、
自分の畑で作るのとスーパーで買うのと、
どっちが安いかあるいはおいしいかとか、
そういう量や質の概念で単純比較をやっていたんですけど、
実際何かを育てるっていうのはそういうものを飛び越えて、
何か心に大きく作用するものだぞ、という予感を
今は強く持っています。

とはいえ、まだ育てるなんて事を云々するほど
畑に馴染んだわけではないので、
あまり語ると薄っぺらくなってしまいますね。
薄っぺらくともことさら大げさに
語ってしまう癖が自分にはあるのです。


最近、夢の世界がやけに活気づいている。
もともと僕の夢は冒険をしたり特殊な能力を持っていたり、
いわゆる少年漫画的な色合いが強くて、
物語のアイデアを持ち帰ってくる事が多いのだけど、
最近はその傾向に拍車がかかっている。
また、歌を持ち帰る夢も増えている。
持ち帰るっていう言い方は比喩ではなくて、
実際に夢の中である程度意識が働いていて、
あ、これは映画のネタになるな、とか、
このメロディは目が覚めるまで忘れないように
繰り返し歌っていよう、とか、
そういう具合にして起きる瞬間までイメージを保持するのである。
そして、枕元においてあるネタ帳に書き付けるか、
メロディなら携帯電話の録音機能で吹き込むといった具合だ。
個々のアイデアとしてはとても面白い設定が多いけれど、
それらを一つの物語に紡ぎあげる作業は大変だ。
いつだって意識が無意識に劣等感を抱いてしまう。

その点、メロディの方は比較的そのまま使えるから嬉しい。
特に夢から持ち帰った歌詞のある歌っていうのは、すごく興味深い。
覚めた意識では選ばないような言葉使いであったり、
あけすけな気持ちであったり、
知らないつもりの外国の言葉が歌詞に入っていて、
起きてから意味を調べると歌の内容にぴたりとはまっていたり、
それがメロディと同時に生まれてくるから、本当に不思議だ。
といっても一曲丸ごと持ち帰るのではなく、
大抵は印象的なサビだったり、歌いだしの何フレーズだけだったり
するので、それを一つの曲に仕立てるにはやっぱり
物語と同じように、覚めた状態で紡いでいかなくては
いけないのだけれど。

こうした行為は、無意識という宝物庫に忍び込むコソ泥のような
感じがしないでもないし、夢の本来の機能
(それは所詮、推量でしか語れないものではあるけれど)
を阻害しているような気もするけど、
とにかく、自分にとってすごく興味深いものであり、自分はそれを
持ち帰らずにはいられないのだ。
でもこれって、成功や名誉に対する欲求が、自分の本来の能力を
押し殺しているのかもしれなくて、つまり、
そうしたイメージを持ち帰ろうという意識を持たなければ、
そうした物語やメロディは夢の中でさらにさらに発展していって、
起きたときにはさっぱり忘れているとしても、
その夢の中では貴重な体験ができるのかもしれない。

考えてみれば、こうした葛藤は自分にとって、
撮るという行為に根ざした逃れがたい
イメージであった事を思い出す。
自分の文章にリンクを貼るのも少し気が引けるが、
かつて見たこんな夢(2006.10.13の文章)に象徴的に語られているテーマだ。
夢はやはり鋭い。

五十嵐大介の漫画に、
決してそこにあるものを持ち帰ってはならないという条件つきで、
この世のものとは思えない美しい島を訪れた少女が、
ついその誓いを忘れて、貝殻だったか、
ごくささいなものをその島から持ち出してしまい、
やがて超自然的な力によって罰せられる、という物語があった。
こうしたモチーフは、世界各地の神話や民話に
埋もれているのではないだろうか。
それは完全な推量なのだけど、
どうもそういう気がしてならない。
それは言ってみれば人間の意識と無意識の関係における、
ある種の元型であり得る気がする。

かつて、ある歳から自分が死ぬまでに見た夢の全てを
記録に残した坊さんがいたらしい。
室町時代だったかな、名前は今軽く調べても見つからなかったの
だけど、後世の人にとって、そうした歴史のかなたの時代における、
個人の無意識にアクセスできる資料が残された事は
たぶんかなり有意義な事なのだろうと思うけど、
本人にとって、それは、どういう意味を持っていたのだろう。
意識や感情のアルバムとして、たびたび振り返る事で
その追体験を楽しみながら、新たな発見をしたり、
自己に対する深い洞察を得たりしていたのだろうか。

自分もやってみたいと思う気持ちが強いけれど、
一方でかいま見た無意識の全てを紙の上に確定してしまうと
いうのは、なんだか空恐ろしい気もする。
やはり人に見せたくはない、それゆえに夢の中でことさら
強調されるような自分の持つ要素を、
紙に書く事で人に見られ得るというのが恐ろしいし、
自分で直視する事になるのも、躊躇する所だ。

これはある友人が語っていた言葉なんだけれど、
やはり、無意識に触れるときには、優しく、
優しく触れるべきなんだと思う。 ]]>
Sun Sugar Son Tue, 23 Mar 2010 12:35:27 +0900
LASD Tokyo 終了 http://sunsugarson.com/blog/62
今回は糸電話で歌とギターを離れたお客さんの耳元に届け、
そこから遠めがねで少し離れた所のダンスを見てもらう、
といった感じのパフォーマンスをやらせてもらいました。

初日は準備不足がもろに祟って、システムとしては面白いけども
それを使って見せる内容がまるで無い、
といった状態に陥ってしまい、
予想外に多かった(というよりほとんどだった)
外国のお客さんたちの困ったような表情を見ながら、
早く帰りたいと思う気持ちばかり募るという悲劇に終わりました。

それに懲りて二日目からはかなり内容をアレンジ、
ギターだけだった糸電話にボーカルを乗せ、
浴衣の着付けの所作を見せながら『おぼろ月夜』をつま弾き、
さらに自分の衣裳は作務衣であるという、
反則スレスレのオリエンタリズムで勝負、
異人さん達のハートをがっちり掴みました。

日本人のお客さんたちもけっこう気に入ってくれたので、
こういうのもありなんだなと、結果オーライです。
まあ自分の場合作務衣は普段着だし、
おぼろ月夜は大好きな曲だし、
越前谷さんの浴衣の所作もすごくさりげないものなので、
あんまり外人さんにこびた感じには映らなかったのかもしれない。
こびが全くなかったかと自問自答すれば、
そうとは言い切れない部分もあるけれど、
今はなるべく肩の力を抜きながら作りたいと思っているので、
これでいいと思う。

ともかく面白い体験でした。
しばらくはイベント出演の予定もないので、
地道に生活していこうと思います。

練馬区の体験農園を今月から使える事になったので、
伊豆でできなかった土いじりを東京で始められる、
それがとても楽しみです。 ]]>
Sun Sugar Son Fri, 05 Mar 2010 17:57:58 +0900
Speed Date ! http://sunsugarson.com/blog/61
ドタバタだったけれども、
わりとお客さんには喜んでもらえたようです。
平日だった最終回をのぞき
連日満員で大入り、ありがたい事です。
大した枚数を刷っていないとはいえ、
サントラCDも完売致しました。
前回透明CDケースにステンシルで
一枚一枚手作りのジャケットを作ったのに比べ、
今回は突貫工事のコンビニ白黒コピージャケだったのですが、
それでもこれだけ買ってもらえた事にありがたいやら何やら、
少し自信を持たせてもらえました。

ほんとにありがとうございます。

そしてほっと一息つく間もなく、
次のイベントが決まりました。

3月1日から六本木のsuper deluxeで開催される
Live Art Speed Dateに越前谷さんと出演します。
話をもらった時点で一週間と少ししか
残されていないという脅威のスケジュール。
15組(くらいだったかな?)のアーティストが、
4分間の間に観客とマンツーマンの
プライベートな空間を演出するというコンセプトで、
色々面白い事を考えてくるみたいです。

自分にもまだおぼろげにしか解ってないし、
主催者のSTKってロンドンのアーティストさんが
何者なのかもよく知らないまま、
とりあえず距離を縮めるパフォーマンスをやろうと、
それだけ決まった所で残りあと5日。

その間に伊豆からの引っ越しも完了させねばならず。

なんだか逆にハイになりそう。 ]]>
Sun Sugar Son Wed, 24 Feb 2010 23:20:33 +0900
出戻り、再出発 http://sunsugarson.com/blog/60 なんだか雪になる可能性もあるとか。
同じ水なのに、雪になって降ってくれれば
不思議と心が躍るので、少し期待しています。

最近めっきり近況を書いていませんでしたが、
伊豆の古民家を見つけて引っ越したはいいものの、
手短に言えば村から追い出される形となり、
現在は東京に戻ってきています。

複雑に入り組んだ事情があり、
かなりプライベートな事なので説明に困る所ですが、
山奥の小さな部落というのは想像以上に
保守的で閉鎖的であり、
僕の連れて行った同居人というのは
既成の価値観や道徳観を全てひっくり返そうという
極めてラディカルな人物だったために、
村人の間に勘違いと疑心暗鬼が広まってしまった、
といった感じでしょうか。

自分はどんな場所に行っても、
そこに住む人たちと協調してうまくやっていけるという
自信が僕の中に強くあったために、
この一連のやり取り、騒動は
少なからぬショックを与えるものでした。

反面、自分の身に降り掛かる
一見不条理な出来事や、理性が納得しがたい状況に対して、
それに抗う事なく受け入れるという、
ある意味での諦めを獲得したように感じます。

それは、そういった意識の持ち方を教えてくれた
禅老師自身との決別という出来事にも、
大きな手助けとなってくれました。
それはある意味で皮肉な事とも言えますが。

ともあれ今は、
少しずつ自分のペースを取り戻そうといった感じの日々です。
精神的、経済的、肉体的に調子を整えて、
本当に自分が作りたいものにエネルギーを集中できる環境を
作っていければと思っています。

まずはお知らせにも書いた通り、
2月20日から始まるミソヒドリの新作、
『遠くからの音』の音作り。
前回の公演が先月の24日に終わったばかりで
非常に限られた時間の中でやるわけですけども、
こういった文化祭前夜の徹夜作業みたいな雰囲気には、
何かしら得難い高揚感というものがあるので、
それがうまく作用すれば、と思っています。

しかし不思議なもので、
自分が撮影者として関わっていた頃は
作品の雰囲気を言葉に置き換える作業にも
対して抵抗や労力を感じなかったのですが、
音楽を作ったりその他いろいろやりながら
内側から関わってくると、
とたんに言葉にするのが難しくなるというか、
何だか気恥ずかしいような気分もしてくるのです。

そういうわけで作品内容についてまだ
うまく書く事はできませんが、
いずれ機会と力があれば書かせてもらおうかと思っています。
予約もだいぶ埋まってきているようなので、
興味を持ってくれた方はお早めにご予約を。

三十日鳥 official blog
]]>
Sun Sugar Son Mon, 01 Feb 2010 15:11:45 +0900
イタチノヘ 09 http://sunsugarson.com/blog/59 トンボを飛ばす。
このあたりの建物はほとんどが巨大化した孟宗竹でできている。

トンボやハエなど、巨大化させた昆虫の運動神経をコントロールして
乗用とする事には、動物愛護団体からの抗議が今も絶えないが、
金属資源の極端にすくないこの世界では、利便性が倫理精神を
押さえ込んでいる形だ。
生殖能力と補食のための攻撃性を除去された、
巨大なクローン昆虫たち。
寿命も科学の進歩によって伸びているとはいえ、トンボの
乗用可能期限はおおむね一年といった所だ。
だが、四枚の翅を自在に動かし、ホバリングも可能で、
障害物や飛来物などに対し半自動的に回避行動を行うトンボは、
地表に汚染物質の体積するこの市街に最も適した乗り物だろう。
餌には食中(食品中央管理局)の製造する、動物性タンパクを
豊富に含んだキューブ状の飼料、通称「ピンク」が与えられるが、
あの巨大な大顎でピンクをガツガツとやっている様を見るのは、
いかにも現代科学のグロテスクな一面を
見せつけられている気がして、ぞっとする。
ごくまれにではあるが、年に数件、人身事故も起きているらしい。
つまり、飼い主であるはずの人間をトンボが誤って
食べてしまうというものだ。
およそ信じがたい話ではあるが、攻撃性が除去されているとはいえ、
生物の再生能力には恐ろしいものがある。
いつのまにか本来の攻撃性に関する神経回路を再生し、
不用心な人間に突然襲いかかるというケースも、考えてみれば
それほど突飛な話ではない気がしてくる。
そのような危険を知りつつも、我々は日々、トンボに
またがってこの街の空を飛んでいる。
そんな事に思いを巡らし、また不必要に憂鬱な気分がぶり返して
きた所で、目的の建物が見えてきた。

我々の所属するアスナ教の荒木町支部。
37階の止まり木にトンボを止めると、ふいに声をかけられた。

「おう、ツナグ」

バルコニーには知り合いのタケムラが丁度出てきた所だった。

「よう、調子どうだ」

「うん、まあまあだな。なかなか売り上げが出なくて
苦しいとこだけど。悪い噂でも流れてんのかな」

「悪い噂?」

「バザールで怪しげなモンを売りつけられたってさ、
被害者がわめいてんのかもしれんぜ」

「そんなの今に始まった事じゃないだろ。それより、何か
上に変な動きはないか」

「?どういう意味だ?」

「昨日、警察に挙げられた」

「!!あのシマに出入りはないはずだぜ」

「だから聞いてるんだ。何か事情が変わったのかも」

「。。。関係あるかどうかはわからないが」

「なんだ」

「組織は、ある女を捜し始めたらしい」

瞬間、私は心臓が凍り付く思いをした。
咄嗟に、心のカーテンを下ろす。
タケムラはテレパスとしての才能はたいして持っていない。
表面さえ取り繕えばこの動揺は隠せるはずだ。

「どんな女だ?」

「それが、顔写真すらないんだが、上が言うには、
『内側に住む女』なんだそうだ」

「。。。そうか、それはつまり、
ゲイの奴はカミングアウトしろってことだな」

私の苦し紛れのジョークに、タケムラは辛うじて笑ってくれた。

「これから仕事か?」

無意味な質問を投げてみる。

「いや、今日は家族サービスだ。嫁と息子を連れて買い物さ」

「家族持ちは大変だね。ほどほどにしろよ」

「わかってくれるね。ありがと。じゃあ、また」

「おう、また」

タケムラは自分のトンボの方へと歩いていった。
私には、建物の扉を開ける勇気がなかった。
こんな時にタバコでもあれば、この場所に突っ立っている
不自然さをごまかすことができるのだが、
あいにく法律で廃止されてもう数年になる。
仕方なしに私は、片方の靴を脱ぎ、振ってみて、
何か異物が出ないかと確かめる振りをした。
ついでに足の裏に刺が刺さっているジェスチャーも
付け加えてみた。
幸い、タケムラはそんな私の努力に見向きもしないで、
まっすぐに自分のトンボに向かい、飛び立ったようだ。

どっと疲れが押し寄せる。
だがここで気を抜くわけにはいかない。
建物の中はテレパスだらけだ。
強力なテレパスならば、私のカーテンなどあっさりと
通過して私の不安を感じ取ってしまうだろう。

私は可能な限り平静を保ちながら、
自分のトンボにまたがり、アクセルを踏んだ。
せっかく休めたばかりなのに、再び強制的に
空を飛ばされるトンボの不機嫌さが心に伝わってきたが、
今は一刻も早くこの場を逃れたかった。

今まで自分を守ってきた組織が、
自分の敵に回る可能性を考えると、
コンプレクソンを一箱飲んでも眠れないのではないかと
いう気がした。


不安と恐怖で頭が混濁したまま、
あてもなくトンボを飛ばした。

トンボの体力が限界に近い事に気づいた時、
あろうことかそこは食中の生産センター上空だった。
一般市民が生産センターに近づく事は許されない。
我々には、自分たちが食べる食物の生産工程を知る権利がない。
建物の周囲にはリビングセンサーが数体配置されている。
五感、いやおそらく六感の知覚を特殊な装置によって限りなく
鋭敏にされた生きたセンサー、所定の位置に座ったまま栄養と
(座ったまま享受できる)あらゆる娯楽とを供給され一生を過ごす、
新しい引きこもりの形態だ。

リビングセンサーの一人が私の意識に警告を飛ばしてきた。

「ここは飛行制限空域です。ただちに離脱して下さい」

私は大慌てでハンドルを切った。
数km離れた先にブロッコの建設予定空き地が見えた。
あそこまでこのトンボが保つだろうか。
滑空だけでもなんとか届きそうな距離ではある。
瞬時に方向を転換したから、
リビングセンサーには脅威と見なされていないはずだ、
そうである事を願う。
脅威と見なされれば、即座に迎撃用のハエが離陸し、
追跡、撃墜されるだろう。

リビングセンサーからの警告はその一度きりで、
私はどうにか草の生い茂った空き地に着陸する事ができた。
周囲には誰もいない。
ただ、いつのまにか眼前に女が一人立っていた。 ]]>
Sun Sugar Son Sun, 27 Dec 2009 20:55:11 +0900
イタチノヘ 08 http://sunsugarson.com/blog/57 窓からはいつもの太陽がさしこみ、拡散して
四方の壁の繊維をくっきりとした緑色に染め上げている。

体のどこにも異常はなかった。
気になる事といえば、これは非常に説明しづらい事なのだが、
思考の片隅に、なにかしら存在感のようなものを感じるのだ。
まぶたを閉じると、暗闇の中で左目の隅がぼんやり明るいような、
そんな程度のもので、心を研ぎすませてみると、何か主張する
存在というわけではないのだが、でも確かに、
何か違和感を自分の内に感じるのだった。

昨日?の事を思い返す。
なぜあの場所に警察が現れたのか。。。
今まであのショバで仲間が挙げられた事などなかった。
考えられる事といえば、上部組織と警察がもめたといった所だろうか。
たとえば賄賂の支払いが滞ったとか、あるいは政府の新法案に
対して組織が難色を示したために、見せしめとして私が逮捕された、
そう考える事はできる。

ウチの組織は誠愛党と関係が深い。
市内での勢力拡大に恩義を計ってもらった見返りに、
選挙活動を独自のやり方で支援してきた。
だが今になって誠愛党が右派政党としての性格を強化し、
シティへの転入手続きを厳格化する新法案を検討し始めたために、
組織内では今までの関係を見直す動きが出ている。

それは単純に、能力者がシティでは生まれにくいからだ。

組織としては、能力者の補充を常に行っていく必要があるから、
こうした法案に反対するのは当然の事だ。
誠愛党が右派政党である事は自明の事であったし、
いずれこうした法案が出てくる事も予測ずみであったろうが、
その程度やタイミングについて、おそらく選挙前の密約が
あったのだろう。
それを反故にせざるを得ない何かしらの事情があった。。。

と、そこまで推測してみて、ぐったりと疲れた。
大きな動きに巻き込まれて面倒を被るのは、
私の最も嫌いなシチュエーションだ。
私はただ、自分の暮らしを、守りたい。
だが、昨日の男の言った言葉。。。
女を守るとは。。。?

すでに、なにか大きな動きが始まっているという不安が
私の心を締め付ける。
コンプレクソンを3錠飲んで私は駐虫場へ向かい、
自分のトンボにまたがった。

一人でいくら考えてみても始まらない。
私は支部を訪ねる事にした。
意識の片隅で、何かが躊躇した、ような気がした。

電源を入れる。
トンボの全身がびくっと痙攣する。
巨大な眼に、ゆっくりと意思が宿っていくように見える。
私がアクセルを踏み込むと、トンボは勢い良く飛び立った。
]]>
Sun Sugar Son Sun, 27 Dec 2009 12:33:20 +0900
イタチノヘ 07 http://sunsugarson.com/blog/56 心臓は自制を失い、激しく動悸している。
天井が、私たちの歩みに合わせ薄暗く緑に光る。
おそらく、振動刺激を感知して発光するプランクトンが
塗り込められているのだろう。
前を歩く警官の腰から強い磁力が発せられているのだろうか、
私の手首に掛けられた手錠は彼から1m以上離れる事ができない。
両側の壁は、今にも私たちに向かって崩れ落ちてきそうな、
異様な圧迫感を伴っている。
彼方の暗がりから、別の警官がこちらに向かって歩いてくる。
彼の周囲だけが歩みに合わせ緑に光るので、スポットライトが
彼の動きをフォローしているようにも見える。
私の前をゆく警官が先に敬礼をする。
おそらく彼の上司なのだろう。
しゃくれた顎と屈強そうな体の上司は、敬礼を返してから
私の顔を一瞥する。
彼らの威厳を保つための帽子の下から、
恐ろしく冷たい視線が私の体の芯を突き刺す。

こうした明かりや廊下の長さといったものは、
脱出の困難さ、自分の置かれた状況の過酷さを
強調するための演出なのだろうか。
私はまんまとそれに乗せられ、
絶望的な気分になってきていた。
早くコンプレクソンを飲みたい。
だがその願いは聞き入れられないだろう。
右派の誠愛党が与党の座を獲得して以来、
警察権力の横暴は増す一方だ。
私はどうにか自力で、自分の感情をコントロールせねばならない。


取り調べ室に一人残され、
担当の刑事が来るのを待たされる。
簡単なテーブル、イスだけが用意された部屋、
なんと冷たい色彩だろう。
時計がないのと極度の緊張とで、
時間の歩みが異常に遅く感じられる。
爆発しそうな心臓をなだめながら、
私はどのようにして自分の素性をごまかす事ができるか、
混乱した頭で必死に考えていた。

今、私の能力を悟られるわけにはいかない。。。

どれくらいの時間が経ったのだろう。
ノックも無しに、ふいに背後のドアが開いた。
そこに立っていたのは、刑事というより、
明らかに囚人の格好をした男だ。
私は突然の事に当惑した。

彼は悠然と私の視線を横切り、
向かいのイスに腰を下ろす。
男はじっと私の顔を眺め回した後、
おもむろに口を開いた。

「出たいか?」

馬鹿げた質問だ。答えは決まっている。
だが、彼の姿には、どこかしら、
彼の言葉のすべてに深い意味のあるような、
不思議な真剣さというものを感じさせるところがあった。

私は、慎重に、頷いた。

「ある女性を助けてあげてほしい。
その女性は、本来この街にいるべき人間ではない。
彼女があるべき所に戻るまで、彼女の事を助けると約束すれば、
君の事をここから出してあげよう」

瞬間、私の脳裏にはとんでもない面倒事を
しょいこんでしまうという、はっきりとした予感が現れた。
私は躊躇した。私がこの街に来たのは、
安定のためであって、決して冒険のためではない。

「だがそれは、君にとっても必要な事なのだ」

私はうつむいていた顔をぴくりと上げる。
薄々は感付いていたが、この男もどうやら能力者らしい。

「この部屋は特殊な造りになっていてね、テレパシーが
通らないようになっているんだ。それでわざわざ、
危険を冒してここまでやってきた。
君がここに来た事は、大きな運命の一端だから」

「...詳しい話を」

「その時間はない。やがて刑事がやってくるだろう。
君は今、選ばなければいけない。
イエスか、ノーか」

この混乱した頭に、そんな重大な選択をさせる事は
不安だった。
私は目を閉じ、直感に頼る事にした。
答えは、始めから出ていたようだ。
彼がにこりと微笑んだ。

「ありがとう。
では、くれぐれも、彼女の事をよろしく頼む。
この世界にとって必要な方だ」


思い出せるのはそこまでだ。
気がつくと私は、自分の部屋のベッドに横たわっていた。 ]]>
Sun Sugar Son Sat, 12 Dec 2009 13:00:51 +0900
イタチノヘ 06 http://sunsugarson.com/blog/54 カウンターの上に80年製のリング型トーカーを
無造作に置く。
彼は目を丸くし、トーカーと私の顔とを交互に見比べる。

「ごらんになりますか?」

彼は未だ信じられないといった様子で、
半ば口を開けたまま、
ゆっくりとトーカーに手を伸ばす。

私は声をひそめる。

「知ってのとおり、フィレモンの影響を受けない、
旧式のトーカーです。耐久性は劣りますが、自由は
保障しますよ」

トーカーは通信機能とID認証装置、電子マネーとを
備えたもので、クリーンの生活に必須のアイテムだ。
トーカーが無くては通過できないゲートも多く、
それはほとんどのクリーンの顔と、良心とを代弁している。
良心を代弁するというのはつまり、ひらたく言えば、
トーカーが個人に代わり、やって良い事といけない事の
判断を行うという事だ。
細かく言えば、トーカー自体がそういった判断を行うのでは
なく、フィレモンから発せられるある種の電波が、
トーカーで増幅され個人の意識に作用するのである。

役所は(役所の人間は自分達の所属組織を『セイフ』と呼ぶ)
市民の倫理意識をコントロールする事を切望してきた。
フィレモン・プロジェクトはその最終的な形だ。
シティ内の景気を一定の水準に保つため、
価格、賃金、需要供給などの値を常に管理する、
いわばシティの家計担当であるマザーコンピュータの
『コンシューマ2』に対し、
ファザーコンピュータであるフィレモンは
人間の無意識に直接作用し、
倫理意識を書き換える。
これによって、昨日まで平気で子供を殺せたような男が、
トーカーをつけただけで、拾った小銭のネコババにすら
戸惑うようになると言われている。

導入に際し人権団体は猛烈に反発したが、
いつものアレで、大多数の人間がぼんやりしている間に
法案は成立し、フィレモンはほとんどのクリーンの
意識の中に進入する事に成功した。
これによって、シティ内の犯罪発生率は格段に低下した
そうだ。
こうした発表のほとんどが役所の発表によるものなので、
そのまま鵜呑みにできるものではないが、
大きないざこざをシティで見かける事はほとんどなくなった
のは事実だ。
その反動なのかどうかは解らないが、常に一定水準の苛立ちを
プールのように溜めている人々が増えた気はする。
突発的な怒りが、本人を救う事もあるのかもしれない。


「お幾らですか?」

彼がついに口を開く。

「そうですね…まあ、20ってとこですかね」

「20!」

彼はその数字に衝撃を受け、
思わずトーカーをカウンターに置いた。

「ずいぶんするんですね」

「ご存知でしょうが、今これを手に入れられるのは、
ここしかありませんよ」

彼は、ふううと長いため息をつき、額に手を当て、
何かを計算し始める。その間もチラチラとトーカーに
視線を送っている。少し思案に疲れてきた様子で、
おもむろにグラスへと手を伸ばした。

その瞬間、私は彼の視界の中のグラスの位置を、
ほんの少しだけ、ずらす。

彼の手がガチャリとグラスを倒す。
氷とソーダ水が勢いよくカウンターの上を流れ、
トーカーを濡らす。

「えっ!?」

「ちょっとっ!!」

私は慌てた振りをして、濡れたトーカーをすばやく手に取る。

「今のトーカーとは違うんだから…」

私はマントの裾でトーカーを拭き始める。

「すっ…すいませんっ!あっ…これ、使いますか」

「結構です」

彼の差し出したハンカチに目もくれず、
私は拭いたトーカーの動作確認を行う振りをする。

「……」

「…どうですか?」

私は彼の目をちらとにらみ、ふうとため息をつく。

「駄目です」

彼の顔がみるみる青ざめていく。
私は心のなかでほくそ笑んでいる。
こんなことができるのも、フィレモンの束縛を受けていない
おかげなのだろうか。
私はもったいぶった調子で続ける。

「さて、どうしましょうかねぇ」

「……すいません」

「いやいや、まあわざとじゃないでしょうけど」

「もちろんです、どういうわけか、手が…」

「まあまあ、お気の毒ですけど、弁償して頂くか…」

「…!」

「いや、待てよ、いい考えが」

そう言って私は、鞄の中を探り、美しい細工を施した
ガラス瓶に入った水を取りだす。

「これは非常に貴重な水です。砂漠の向こうのオアシスで
採取された水に特別な配合の薬草を混ぜたもので、
疲労回復、万病の治癒に極めて迅速な効果があります」

彼の表情が、うしろめたさから訝しさへと変わりかける。

「これを何本か買って頂ければ、さっきの件は
水に流しましょう。どうです、すこし試してみますか?」

「そんなにすぐに効くものですか」

「まあ試してごらんなさい」

私はもったいぶってガラス瓶の栓を開け、
空になった彼のグラスに、1/10ほど聖水を注ぐ。
彼はにおいを確かめ、おそるおそる口に運ぶ。
私は、いっそう力を込めて、彼に念を送り込む。

「…なんだか、体が軽くなってきました」

「もう少し待ってみなさい」

私はさらに彼に念を送り続ける。
彼の気持ちが疑わしさを離れ、食いつき始めているのを
手触りとして感じる。

「すごいです!体中の痛みが…!」

私はおもわずにこりとする。

「はいはい、そこまで」

念を送るのに集中していて気づかなかったが、
背後に二人の男が立っていた。

明らかに、普通の人間ではない。
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Sun Sugar Son Thu, 15 Oct 2009 03:06:54 +0900
イタチノヘ メモ 05 http://sunsugarson.com/blog/53
シティに格差がひどいのは、
貧乏人の苦しみが雨雲を呼ぶエネルギーの
主要因であるからだ。
役所は水源確保のために格差を維持する。
そして毎晩ドームの上には黒い雲が集まる。

風が冷たくなって
ぼさり、ぼさりと大粒の雪が降る。
西の砂をたくさん含んだ雪だ。
この時間に外をトンボで飛ぶやつはいない。


月明かりを背景に、
空を飛ぶ人影が二つ。
短い手足。
ブロッコの一室、
明かりのもれる窓のそばに近づいて、
中を覗く。
ゾディにアクセス中の男が一人。
20代前半、痩せ型、ヒゲ。
一人の子供がもう一人の子供に合図し、
二人で光の玉を作る。
それをそっと窓から部屋のなかに差し入れると、
二人は窓辺を離れ空の旅へと戻る。


暁が東の空を染め上げると、
ドームの屋根に積もった大量の雪は
日差しを受けて急速に溶け始める。
ドームの接地面にはこの水を集める為の
側溝が設けられており、濾過、殺菌されて
市内に供給される水の流れがちょろちょろと
音を立て始めてシティの朝は始まる。
砂漠の向こうでは急速に加熱された砂の熱で
雪原はあっという間に空間を埋め尽くす水蒸気となり
巨大な陽炎がゆらゆら、ぐらぐらと
殺風景な荒野を捻じ曲げる。

隣の部屋では時間を無くした男の
一つ目のベルが鳴る。
先日、ようやく障害認定されるようになった
ばかりの流行り病だ。
彼は1日中ジグソーパズルをして過ごしている。
以前はたいがいのロストがそうであるように
優秀な企業戦士だったそうだ。
ある時期、出世の足がかりとなる大きな
プロジェクトを任され、大きな責任と期待の中
分刻みのスケジュールで働いていたのだが、
ある日、ふと移動レーンの乗り過ごしが多いことに
気付いた。
目的の駅で降りられず、うっかりしていると
二つ三つの駅どころではなくて、
レーンをぐるりと一周してしまっているのだ。
ちゃんとアナウンスを聞いていれば
降りられるはずなのだが、
通いなれた通勤路というのはマンネリ化して
しまっているために、意識を保つ事が困難なのだ。
仕方なく通勤路を遠回りなものに変えてみた。
だが問題は単純ではなかった。
そのうち会話が難しくなってきた。
ほんの一時考え込んだつもりが、
3時間の沈黙となり、
少し熱の入った話しをすれば
必ず相手が疲労の果てに彼の口を遮るように
なってしまったのだ。

そんなふうにしてクビになり、
今は毎日ジグソーパズルに没頭している隣人。 


これぐらいゆるくても
メモを書き重ねていったほうが
作品は作りやすいのではないかと
思ったのでそうしてみます。

ちぃっと読みづらい文章になりがちですが
ご勘弁。
たくさん矛盾出るかもしれんがご勘弁 too

伊豆に引っ越す予定です。
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Sun Sugar Son Wed, 23 Sep 2009 05:30:43 +0900
近況報告 http://sunsugarson.com/blog/52 5月4日、5日、6日に仙川の森のテラスで行われる
ダンスのイベントに、ギターで参加する事になりました。
小笠原で出会った越前谷さん率いる
三十日鳥の第二回公演。
バイオリン弾きの淳也と一緒にやります。

場所も踊りも生音もいい具合に混ざってきておりますので、
お時間ある方はゼヒ。

4日はもうほとんど埋まってしまったそうですが。。。
(席数増やせるかも、とのこと)
予約状況などはミソヒドリ公式ブログをご覧下さい。
都合の着く方はなるべく5日でお願いします。


それから、5月17日に新井薬師のスペシャルカラーズで、
オービタルリンクのRAYさんのダンスパフォーマンスに
映像で参加します。
名古屋の電子音ニスト、小野さんと一緒です。
詳細など見えてきたら、
こちらもinformationで告知させてもらいます。


先日ひさかたぶりに映画を上映させて頂いて、
ふたたび直前編集の嵐が吹き荒れ
へろへろになって辿り着いたのですが、
やっぱり人の反応に直に触れられるのはありがたいね。
自分が何をしたいのかわかってくる。



明日は代々木公園にギター持って行って
音の打ち合わせ。
アースデイもやってるから楽しそう。
快晴だといいな。
ライブは久しぶりだけど、
やっぱり楽しみ。
ギターと隣人を大切にしながら
本番まで精進したいです。


映画の方は
ぶわーっと広がった世界の設定を
どうやってストーリーに落としていくのか
そのへんを試行錯誤しつつ
とりあえず流してみています。

とりあえず今回は、
「できるかできないか」
という思考を捨てて
想像力が遊ぶままに
面白いストーリーを作ってみたい。
という事でムチャクチャ書いてますが
気になった人いたら手伝って下さい。
〆切り無し、目的無しで
ひたすら楽しんでみようという方、
ぜひぜひ一緒に楽しみましょう。
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Sun Sugar Son Sat, 18 Apr 2009 02:41:42 +0900